11994人が本棚に入れています
本棚に追加
/1056ページ
「放して…」
清蘭は震える声でつぶやいた。
その目には涙がたまり、今にも溢れそうだ。
「嫌だね、誰がこんなにも大切なものを手放す?」
耳元でささやかれる甘い言葉。
腕を掴んでいる指の力が強くなる。
「っつ…」
清蘭は痛みに顔をしかめ、目を閉じる。
「清蘭…」
言葉とともに、熱い唇がふってくる。
それを拒むことはできない。
彼に囚われた、あの日から―――…
最初のコメントを投稿しよう!