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「砂知! 兄貴! こっちだこっち!」
「もう、シノ早いよ」
「砂知の言う通りだ! こういうのは別に、早い者順なわけじゃないんだから」
「なーに言ってんだよ! 親友の門出だ、ぱーっといかなくてどーすんだよ」
「“ぱーっと”の使い方が違う気がするけど……まぁいっか」
飽きれまじりにため息を吐くが、これは全く暗いものではない。
今日、親友の礼子――もとい、二ノ宮 礼都が結婚する。
もちろん日本では同姓同士の婚姻は認められていないし、礼子もそれを十分承知してる。
この青い空の下、彼等は神の前で約束をした。
お互いを生涯愛し続けることを。
それはそれは大きく、それはそれは小さな誓い。
途方もなく、また足元にあるような誓い。
生涯、お互いの“幸せ”を願うことを。
「新郎新婦が登場します。みなさんフラワーシャワーのご用意を」
彼等の式をイチからプロデュースしたブライダルプランナーが、直々に司会を努める。
チャペルの扉が開かれた。
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