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わあと上がる歓声と、色鮮やかに宙を舞う花弁たち。
その向こう側には白いタキシードに身を包んだ礼子と、ウエディングドレスがよく似合う杏菜さん。
二人とも、こぼれそうな程の笑みを浮かべている。
ふと左肩に重みを感じ、右隣りを見上げた。
「礼子さん、幸せそうだな」
お兄さん――達平が微笑む。
「うん、杏菜さんも綺麗」
きらきら、きらきら、幸せが光ってる。
「さっちゃん」
そう呼ばれて胸が高鳴る。
この呼び名は、彼があたしをからかう時、いたずらを仕掛ける時の合図となった。
「な、なに?」
疑い半分にその顔を覗き見れば、案の定いやらしーい笑みを携えている。
そうしてこの男は、とんでもないことを言い出したのだ。
「――結婚しよっか」
「…………は?」
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