幼子の想い緋より強し

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 今思えば、当時の俺はなんてひねくれたガキだったんだろう。  誰かが右と言えば左を向き、親切や感謝というものを心の底から嫌悪し目を背けてきた。  ……あの時もだ。  あの時も、俺は。 「凌、兄ちゃんがケーキ買ってきたぞー」  小学校からまっすぐ帰ると部屋に引きこもるという毎日を過ごしていた俺を見兼ねたのか、ある日兄貴がそんなことを言った。  これまで母さんと二人で貧乏生活をしていたのもあって、正直ケーキには魅かれた。  しかし同時に「どうして特別でもない日にケーキを買うんだ」と、自分勝手だが憤慨した。
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