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潰れたケーキを、兄貴は無言で片付けた。
その間、何か言わなくてはと思ったが意固地な性格が邪魔をする。
「ごめんな」
兄貴は謝った。悪くないのに。
悪いのは僕だ。
なのに、なんで謝るの?
疑問は言葉にできないままで、兄貴は静かに部屋を出て行く。
その横顔は辛く悲しそうで、木製の扉が俺たちを隔てたあとも、しばらく俺の瞼の裏に焼き付いて離れなかった。
その後この事について兄貴に謝ると、兄貴はわざと「そんなことあったっけ?」ととぼけて笑った。
そして俺は、口には出さないけど「やっぱり兄貴には敵わないや」って笑い返すんだ。
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