ホット缶コーヒーの奇跡

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さて、そんな乏しい財布の中身を見てはため息をついているが、現在俺がどこでため息をついているかは今説明する。 校舎内……とは言っても、学習用の教室やら俺らのHRやらがある棟からは大分離れた、どちらかといえば部活動体育館側に近い、いわゆる食堂に向かうための渡り廊下にいる。 もちろんのこと立ち止まっているわけではなく、一定のペースで歩いているところだ。 食堂という名前は伊達ではなく、一応それなりに食堂らしさが出ている商品(例えを出せばカレー定食とか)なども売られてはいるのだが、俺の小遣いに乏しい財布ごときが手を出せるわけはなく、悲しくもいつもと同じ安めの商品を買いに行く途中である、と伝えておこう。 さて、いつもの安めの商品というのは、各種パン類税込み105円、たまには贅沢をして298円のサンドウィッチのことであり、もちろんのことカレー定食(税込み525円)等の高価な商品ではない。 それと、だいたいの日は奮発はしないので、食堂内、隅っこに設置された自動販売機にもたびたびお世話になっていることを補足しておこうか。 水分補給のためなら、財布の中の数枚の貴重な硬貨を自動販売機に入れてやっても問題はないのさ。  
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