ホット缶コーヒーの奇跡

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食堂の中に足を踏み入れれると、周りからは生徒達の声がよりいっそう聞こえるようになった。 悲しくも俺の親しい友人は皆弁当組というわけで、一人で食堂に入り、これまた一人で食事券売機への列へと並ぶわけである。 さて、一応ながら食堂の中を説明しておこうか。 入ってすぐの場所から首を左にひねると見えてくる食券売機。 ひねらずに真っすぐ前を見つめれば、おびただしい数のパイン材の円テーブルとそれぞれの椅子が嫌でも視界に入る。 逆に右にひねった場合、見えるのは食堂の清潔感溢れる真っさらな白い壁だけだな。 ちなみに、券売機の数歩横には、食券を受け取り、厨房の奥へと指令を出す、通称“食堂のおばちゃん”なる人が数人待機しており、食券を受け取ると同時に、その隣のおばちゃんが、客の指定した商品を渡す、という仕様だ。 そして、更に数歩横に進むと、商品を受け取った大半の生徒が利用するであろう、我らが自動販売機があるというわけ。 一連の流れである。 だいたいは……よし、こんなもんでいいだろう。 これにて説明を終える。 俺は昼時のゆったりとした空気を楽しみつつ、券売機の前まで続くやや長い列の一番後ろに足を合わせた。  
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