3092人が本棚に入れています
本棚に追加
食堂の中に足を踏み入れれると、周りからは生徒達の声がよりいっそう聞こえるようになった。
悲しくも俺の親しい友人は皆弁当組というわけで、一人で食堂に入り、これまた一人で食事券売機への列へと並ぶわけである。
さて、一応ながら食堂の中を説明しておこうか。
入ってすぐの場所から首を左にひねると見えてくる食券売機。
ひねらずに真っすぐ前を見つめれば、おびただしい数のパイン材の円テーブルとそれぞれの椅子が嫌でも視界に入る。
逆に右にひねった場合、見えるのは食堂の清潔感溢れる真っさらな白い壁だけだな。
ちなみに、券売機の数歩横には、食券を受け取り、厨房の奥へと指令を出す、通称“食堂のおばちゃん”なる人が数人待機しており、食券を受け取ると同時に、その隣のおばちゃんが、客の指定した商品を渡す、という仕様だ。
そして、更に数歩横に進むと、商品を受け取った大半の生徒が利用するであろう、我らが自動販売機があるというわけ。
一連の流れである。
だいたいは……よし、こんなもんでいいだろう。
これにて説明を終える。
俺は昼時のゆったりとした空気を楽しみつつ、券売機の前まで続くやや長い列の一番後ろに足を合わせた。
最初のコメントを投稿しよう!