プロローグ

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        一一また、か。 授業中、ふと気が付けば俺はいつも隣を見てしまっていた。無意識ってのは実に怖いもんだ。 暖かくなりつつある春真っ盛りの中の昼下がり、簡略して午後一の現国。 食後だからか? 一一いや、違う。 この陽気からくる無償の心地よさのせいか? 一一いや、そういうわけでもない。 自問自答に明け暮れるも、自らが返せる言葉はただ一つ。 瞳に映る、睡眠中の女の子を見ているんだ、と。 追言しよう。ただ単に彼女はTPO問わず、一言で言い表せば“孤高の眠り姫”というような感じだった。 いつでもどこでも、俺の中には眠っている姿しか映っていない。 微かに脳に残る活動中の彼女と言えば、授業中に、いかにも睡魔と戦いながら目を擦っている姿くらいだろうか。 なんともまぁ、彼女へのイメージは、それほどまでにも寝ているという肩書しかない、限りなく印象の薄い存在らしい。 だとしたら、どうして俺は一一 そんな彼女の眠る姿に見とれてしまっているのだろうか。    
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