ホット缶コーヒーの奇跡

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      一一一一翌日。 今も昨日と変わらぬ昼休み。時間的には入学式から二週間と二日経った日である。 学内の日課の中で、俺はこれといってすることもなければ、貴重な昼休みの時間を引き裂いてでも、立ち寄らなければいけない場所も存在しない。 これは昼休みにも相応することであり、これといってHRにたむろっている用もないので、今も同じく食堂へと向かっているところ、というわけだ。 先に確認しておく。 今いる場所は食堂へ向かう東棟と西棟を繋ぐ渡り廊下であり、昨日と変わらぬ動作で足を食堂へと向けている。 同じく、という言葉を連呼するのは避けたいところだが、ここは一つ、もう一度だけ使わせてもらおう。 昨日と同じく、渡り廊下を渡る俺の隣には誰もいない。 寂しくも、HRで弁当組を背に、俺は俺の道、つまり、小さな夢を追い求めて、食堂へと向かっている。 ……この説明中も、変わらず俺の足は決まったレールの上を走るように、規則正しく東棟への距離を縮めているというわけだな。  
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