ホット缶コーヒーの奇跡

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  人によってはレトロな建物に見える総合体育館兼食堂の東棟へと続く廊下を進むこの足。 俺の腹も既に朝から続いているこの空腹には勝てないらしく、決まって安めの食券及びその食べ物を欲している。 数十歩も歩けば西棟から東棟に移ることが出来るわけで、実際ならこの説明や描写も省いていいはずなのである。 だがしかし、今回ばかりは少しばかり違っていた。 一歩また一歩と進むこの足の横を通り過ぎていく小さな人影。 ふわりと俺の前を過ぎ去っていったその後ろ姿に、俺は目を合わせずにはいられなかった。 俺の前を通り過ぎたのはスカートをたなびかせた女の子。 どこか見覚えのあるやや茶髪に染まりかけた綺麗な一本ポニーテール。 後ろ姿だけでも俺には分かる。 伊達に毎日見つめてなんかいないさ。 ふわりと俺の横を通り過ぎていったその人物。 そいつは……眠り姫だった。 再び言うことになるとは。でも、言っておく必要がある。 あいつの起きているところ……久しぶりにみた。 風のように流れ去っていく彼女に、俺は妙な興味心を胸に感じつつ、俺は彼女の後ろ姿を無意識に追いかけていた。 ストーカー? し、失礼な。  
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