ホット缶コーヒーの奇跡

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  気が付けば、俺の足は彼女の後ろ姿をただひたすらに追いかけていた。 彼女は走っているわけでもなさそうな足どりで俺の横を過ぎて行ったが、後ろから見てみれば、それはそれで急いでいるようにも見える。 俺の徒歩スピードでは到底敵わない。 ストーカーよろしくな行動をしている俺だが、そこは今は考えないとして、これまた彼女とほぼ同じスピード、俺は小走りで彼女の背を追いかけてみることにしよう。 結論、彼女の足は、食堂にも、その裏の体育館にも向かってはいなかった。 渡り廊下を渡り終えた俺の目に映ったその光景は、彼女が食堂横の脇道を過ぎてゆくところ。 食堂には入らず、その後ろ側の『食堂のおばちゃん専用の玄関』へと続く道。 外を経由してでなければ行くことの出来ないその“東棟裏”に向かっているらしい。 俺も行ったことはないその東棟裏。 確か、あそこには駐車場があったはず……。 建物の陰に隠れながら、引き続き俺は彼女の背中を追った。  
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