ホット缶コーヒーの奇跡

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  「ふぅ……コーヒーは良い。身も心も落ち着かせてくれる。 君もそうは思わないか? まぁ、あくまで極個人的な意見だ。強要はしないがね」 どうやら、缶コーヒーの中身は残っていたらしい。少量だけ缶に口をつけると、再び彼女は缶コーヒーをテーブルの定位置に置いた。 「……すまん。この状況に全くついていけない」 無口なやつが、いきなりここまでにも口を開き出したら少なからず常人は開いた口が塞がらないだろ? 俺は間違ってないぞ、うん。 「初めての人なら、たいていはそうなるさ。君もそのうち慣れる。 詳しく説明すると長くなるが……今ここで少し時間を貰っても構わないか?」 時間を貰うも何も、さっき数分待たされたときから、俺は眠り姫さんに時間を預けてるんだ。 状況の理解が先さ、こういうときは。 俺は彼女に一つ頷きを返し、目線を彼女の顔へと戻した。 「肩の力を抜いてもらいたいな。 緊張するほどでもないたわいもない話さ。気楽に聞いて欲しい」 俺と目を合わせ、ポニーテールをさらりとたなびかせた彼女は、そのまま話を続けた。  
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