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「話をするとは言ったが……まずは自己紹介からにしよう。
君は私の名前を知っているかい?
あまり人と関わりを持たない分、私はそんなに名前を覚えられたことがないからね」
そういえば、俺は呼称を知っているだけで、眠り姫の本名は知らないな。クラスメートで、更には隣の席だというのに。
ダメか? セーフだろ、うん。
教室の彼女の机に、名前が貼ってあったかもしれんが、俺はいちいちそんなところまでは見てない。
あとで教室に戻ったら確認しておこう。
とりあえず無言で首を振っておく。
「そうか。私は、姓は柳、名は有姫。川柳の柳という字の“やなぎ”に、有明の有の字の“ゆう”、お姫様の姫の字の“き”、合わせて柳有姫だ。
出来ればニックネームとして“姫”と呼んで欲しいな。名前や名字で呼ばれるのは抵抗がある。少しばかりコンプレックスでね。
さて、君の名前は?
実を言えば私自身も君の名前を知らないんだ」
柳、有姫ね。
なるほど。“眠り姫”ってのは、有姫の姫の字を使ったわけか。なら、俺も姫と呼ばせてもらおう。
馴れ馴れしくはないだろ、そう呼んでくれって言ってるんだし。
彼女の名前を心の内で再確認。
次は、俺の番だな。
何故自己紹介をし合うのは分からないが……この場の空気に合わせておくことにしよう。
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