3092人が本棚に入れています
本棚に追加
さぁ、続きを話すぞ。
この入学式当日から、彼女が眠り姫だということは、ほぼ俺らの学年には知れ渡っていた。
初々しさを隠すことの出来ない新高校一年生になった俺等一同は、保護者様方、教師方が見守る(正確には見張るだな)中、彼女だけが唯一、パイプ椅子に背と体重を預け、夢の世界へと旅立っていたらしい。
横12列縦5列に渡り並ぶパイプ椅子、その中のやや真ん中よりにいた眠り姫の後ろに座っていた、俺の女友人が言うのだから間違いはないはずである。
その女友人、彼女いわく、
「式の10分の8は眠っていたわね」
だそうだ。
もう、たまったもんじゃない。
式中の規律号令のときは調子良く起きて周りに見習い、その他何もしないときはすやすやと脳を休めていた、と。
常人が聞けば、大層大問題なところだな、うん。
とにかく、そんなわけで、知ってか知らぬか、初日にして、眠り姫は一躍注目の的になったというわけだ。
まぁ、過去を振り返るとすれば、だいたいはこんなもんか。
後はちょいちょい話していくことにしよう。
最初のコメントを投稿しよう!