華はいつしか散るなんて...

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ピッ…ピッ…ピッ…ピッ……ピー――…。 小さなモニターに映っていた緑色の小さな波が消え,一つの線になり,流れた…。 病室には啜り泣く声が響く…。 しかし俺の耳には舞緒の声しか聞こえない。いや,聞こえてはいない。それはつい数日前の記憶…。 (「わたしね…知ってるの…死ぬんだよね」) 目に一杯の涙を浮かべて微笑む舞緒。 (「生きたい…生きたいよ兄ちゃん!」) あの時の俺はなんと声をかければよかったのだろうか…。なんて言えば舞緒は安心して逝けたのだろうか…。 大切な妹を守りたかった自分には,なにができたのだろう……。
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