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「雪だぁ…初雪だよ!あやチャンと二人で見れるなんてラッキー♪」
無邪気に笑う彼を見て、私もこんなに上手く社交辞令を言える様になりたいなんて、やっぱり私って可愛くない。
相変わらずの愛想笑いに苦笑いを混じらせ、
「それ、他の子達が聞いたら何されるか。怖いですよ」
少し困った様な、それでも少し嬉しい様な、我ながら完璧な反応。
二人の間に沈黙が訪れ、互いに窓の外を見つめる。
どれぐらいそうしていたか、ふとそろそろ帰りたいのに今の雰囲気がそれを許さない気がして、居心地が悪くなった時。
「…………あやチャンてさ」
急に彼が口を開いて、反応が遅れる。
「…え、と…はい」
不自然になってしまった私の返事を気にする事なく、彼は続ける。
「雪、みたいだよね」
思ってもいなかった言葉に、思わずつまる。
「…………え…?」
「遠くから見てるだけだと凄く綺麗で魅力的で…神秘的なんだけど、近付くと思ってたより寒くて」
彼のいう事の意味がイマイチ解らない。
寒いって…直訳すると面白くないって事?
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