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良く解らないが何だか不愉快になった私は、それを隠しきれず顔が曇ってしまう。
「いざ意を決して触ってみるとやっぱり冷たくて、あんまり触れられない」
…やっぱり私けなされてるよね…?
要するに端から見てる分にはいいけど、近付くと駄目って事だよね。
ここ怒っていいとこ?いいよね!?
深意を探ろうと、一人悶々と考えた結果、口を開く。
「「…あの…!」それでもずっと触ってると溶けてなくなってしまう、そんなイメージ」
私の言葉はかぶさった彼の声に消された。
…なくなってしまう?
最後のフレーズに最早何が言いたいのか、全く見失ってしまった私は口を閉ざした。
ずっと窓の外を見続けていた彼が不意に振り返り、俯き加減で困惑した表情を浮かべる私にやっと気付いて焦る。
「あ、御免。これ、俺の癖でさ。変な癖だから止めなきゃって思うんだけど、気付いたらやっちゃってんの。苦笑」
苦笑いを浮かべる彼に怪訝な表情を向ける。
「癖…?」
「そう。人の事何かに例えちゃうんだ。気分悪くしたなら御免」
ガバッと勢い良く頭を下げた彼を見つめたまま、ふと我に帰る。
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