透明人間

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今まで仲の良かった男子社員も女子社員が怖くて見ないフリする。 私の存在を証明してくれるのは、課長と碓氷さんだけ。 だから無下に断ったり、出来ない。 ―突き放したり、出来ない。 女の怖い所は強いモノの前では、いつも通りの事。 気付いて欲しくて、いくら心で叫んだって彼には届かないんだ。 気付いてよ、私の今の状況に。 気付いてよ、私の声に。 今まで散々他人の事なんて興味ないんだと思って来た癖に、この状況になって初めて自分が間違っていた事に気付く。 他人の一挙一動に、こんなにも揺れ動かされる。 これは私に与えられた罰なんですか? 他人との共存を上手く消化出来ない私に、与えられた試練なんですか? 自分なりには表明上、上手くやって来たつもりだった。 でもやっぱり上辺は上辺でしかなくて。 馬鹿にしてきたつもりはなかったけど、こんなに冷たくて脆く、儚いものだと気付きもしない。 碓氷さん、私が‘雪’なんじゃない。 私と人との関係が‘雪’の様なんだ。 私は透明人間になってしまった。 元に戻る薬なんて何処にもなくて。
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