1014人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃあ早速だけど箕輪、これ10部ずつコピーとって。それから中塚、あんたは皆のお茶入れて」
「「はいっ」」
テキパキと指示を出し、三國さんは一旦自分のデスクへと向かって行く。
コピーは傍で付いてなくても出来るか、お茶は給湯室の場所とかわかんないよね。
私も入社したばっかの時は毎日お茶や珈琲いれたなぁ。
なんて昔を思い出す。
箕輪君は中々元気があってまだ学生ならではのやんちゃさが残る。
中塚さんは小さくて女の子って感じで、少し怒られただけで泣き出すタイプかも。こういう子って男ウケはいいんだけど、女には敵作るんだよね…
「…ちっ、女はお茶くみかよ」
…え?
未だ俯いたままだった中塚さんがポツリと呟いた言葉は、バッチリ私の耳に届いた。
唖然と見つめる私に気付いても、聞こえてないと思ったのか、困った様な表情を浮かべる。
「お茶いれるんですよね。あの…給湯室の場所教えて頂けますか?」
上目遣いに見上げるその顔から、さっきの毒の言葉はかけらさえ見えなくて。
無理矢理さっきのは何かの勘違いなんだと思う事にする。
「…あ、あ。給湯室ね。こっちだよ」
最初のコメントを投稿しよう!