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私のその言葉が合図となったのか、
「…わっ!御免っ!俺つい…!」
両肩を掴んでバリッと剥がされ、何とか息を整えて顔を上げる。
「…………?」
するとそこには頬を赤く染め、私から視線を外したまま頭をポリポリとかく碓氷さんの姿があった。
「…何か、大人げなかったね」
そう言って苦笑いする碓氷さんを何と言っていいのか解らず、ただ呆然と見つめる。
どういう事?
「……最近さ、晃と一緒に居る事多いじゃん…?」
あの後、二人の間を沈黙が支配しながら割と来る頻度の高いカフェにやって来た。
広い店内はテラス付きで、この時期は気持ちがいいからテラス席に座る事が多い。
周りにはランチでやって来たOL達で埋まっていて、唯一の男性である碓氷さんは少し浮いてるが本人は全く気にしない。
程よく整った顔立ちに頬を染める周りの好奇の目も、どうでもいいらしい。
そんな碓氷さんが依然として私から視線を外したまま、おもむろに呟いた言葉。
…いや疑問?
それに対して私の返事も疑問形になってしまう。
「はぁ…?一応新人の教育係なんで」
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