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別に気安過ぎるんじゃない?、とか言うつもりはないけど、彼女の人懐っこさには正直驚かされる。
初日、ガチガチに緊張してたかと思うとその日の帰りには皆に馴染んでいた。
男性社員からは当然の様に瞬く間に人気者へと変わり、女性社員からは可愛い妹へと変わる。
私の経験上、こういうタイプの子って女性からは犬猿されがちなんだけど…
彼女の場合は当て嵌まらない。
透明ではなくても妙な視線を遠巻きに浴びる私にも、特に気にする事なく懐いてくれる。
これは私にとって、とても有り難い事だった。
「御免ね。ちょっと考え事してて」
同じく苦笑いを浮かべた私の耳に口元を寄せた彼女の、ほんのりと香る甘い香り。
「…もしかして、碓氷さんですか?」
「!?…………違うよ」
何だか素直に認めたくなくて、嘘をついた。
「…違うんですか?でも…あやさんと碓氷さんってやっぱり付き合ってるんですよね?いいなぁ~!仕事も出来て、爽やかな人気者彼氏!私も彼氏欲しくなる~」
ふふっと可愛らしく覗き込む中塚さんの言葉に、私は顔の前で手を振りながら慌てて否定する。
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