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「ちっ違うよっ!碓氷さんは彼氏とかじゃないんだって!」
手と合わせて首も振っていた私に疑いの眼差しを向け、腕を組んでみせた。
「え~でもすっごいラブラブだったじゃないですか!手を繋いで仲よさ気に愛の逃避行までしちゃって!あれで彼氏じゃないって言われても全く説得力ないですよ」
「うっ…あれは…その…私も良くわかんないと言うか…」
しどろもどろになりながら答える私に、興奮気味の彼女もキョトンとしていた。
「どういう事ですか?」
「わかんないんだよぉ~…碓氷さんが何考えてんだか全く…」
俯いた私の手をそっと握り、碓氷さんの様に真っ直ぐ私を見つめる瞳に、気付いたら私の口からは止まる事なく今のモヤモヤした気持ちが溢れ出していた。
ただ静かに相槌を打ちながら聞いてくれる彼女に、すんなりと素直な気持ちが吐き出せた。
聞き終えた彼女の口から出た、
「それが恋してるって事なんじゃないですか?ちょっとミステリアスな男性って素敵なんですよ。女性はそういうのに弱いんですよねぇ。」
と言う言葉は何故かスッと私の中に入って来た。
―恋してる。
私やっぱり碓氷さんに惹かれ始めてる?
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