透明人間

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疲れた時の甘い物は堪らない。 二つしか買ってないのに小さい袋がきれてるからと大きめな袋に入れられ、縦長に伸びた袋と鞄を持った私は海沿いにある広場の階段の隅に腰を降ろした。 22時をまわっていたけど、ここら辺は割と都会な為、まだチラホラと人影が見える。 階段はカーブを描きながら横長に広がっていて端の方からギターの弾き語りが聞こえて来たり、広場の中央ではスケボーで技の練習をしているグループが見える。 私が座った場所からはライトアップされた橋が一望出来て、ここは安らげるお気に入りの場所なのだ。 会社と家の間ぐらいにあるここへは、何かに悩んだり、考え事をしたい時とかによくここへ来る。 ただ階段に座って海を眺めるだけだけど、何だか落ち着くんだ。 今日は大切な物を二つも一気に手に入れた気がしてほっこりした気分で海を眺める。 海って見る時の気持ちによっても違って見えるよね。 悲しい時、辛い時は海が泣いてる様に見えるし、温かい気持ちの時はそれを優しく見守ってくれてる気がする。 港町にはカップル達が寄り添いながら集まる。
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