透明人間

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「違うしっ!っていうかあんたには関係ないでしょ!」 消そうとしても中々消せないハズの‘外面’は姿を見せる事なく、苛立った私は言葉をぶつける。 「へぇ、違うんだ。じゃあ何してたの?黄昏れてたとか?ってもう夜遅すぎだよね!」 何が可笑しいのか一人でクスクス笑って見せる男に、こいつには常識が通用しないと悟った私は立ち上がる。 「もう帰っちゃうの?残念だなぁ。折角出会えたのに。じゃあまたね!」 立ち上がった私を見上げる様に見た後、スッと立ち上がり、ヒラヒラと手を振りながら先に歩きだした。 結局何がしたかったのか訳が解らず見送る形になった私は、さっき前を通り過ぎて行った黄色い声の持ち主達に遠巻きに睨まれていた事にやっと気付く。 「イオリー!何してんの!?」 「そんなのほっといて早く行こうよっ!!」 自分に非はないのに、はっきりと向けられる嫌悪に思わず立ちくらみを起こしそうな感覚を覚える。 「御免、御免。じゃあいこっか♪」 軽いノリで中心へと入って行く男に舌打ちした瞬間、男が振り返った。 「ばいばいっ。お姉さんっ♪」
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