透明人間

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未だにこっちをチラチラ見ながらヒソヒソ話を続ける周りに、いたたまれなくなった私はにっこり微笑むソレを完全に無視して一目散に逃げ出す。 はぁっはぁっ… 何で私がこんな目にっ! 休日前だって言うのに本当にツいてない。 またね、と言った綺麗過ぎる顔を思い出すと何だか無性に腹がたった。 ピピピ… 「…何で鳴るのよ…」 無機質な機械音が部屋中に鳴り響き、丸いボタンを不機嫌に叩いた私はまた布団に包まり直す。 休みだと言うのにいつもの癖で目覚ましをセットしてしまう事が良くある。 その度に時計はきっちりと仕事をこなしているのに、苛々と乱暴に扱われてそんな役割だなとたまに思う。 …まぁ人間相手だしね。 ちょっと時計に同情してみたり。 それにしても二度寝って気持ちいい、なんて思いながら再び夢の入口に立った時― ピリリリリリ… 今度は敢えて初期設定のままにしてある携帯の機械音に、現実世界へと戻された。 「……………」 私が毎朝目覚ましを設定してるのは7時。30分ぐらいたってるとしても、電話を掛けて来るには非常識な時間だ。
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