透明人間

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私はだんまり居留守を決め込む事にした。 ピリリリリリ…ピリリリリリ… これでもかと鳴り続け、一旦消えた着信は間髪入れずにまた鳴り始める。 枕で頭を包んでみたり、手で耳を押さえてみたり、色々試してみるものの、無駄だとやっと悟った私は溜め息をついて電話に手を伸ばした。 「…はい」 明らかに寝起きだと解る声に、相手が誰か確かめずに出てしまったと後悔したけど… 「お早う!あやチャンっ!」 受話口から聞こえるハイテンションの声に掻き消された。 「…え!?うっ…碓氷さんっ…!?」 「そうでーす!碓氷さんでーす♪」 こんな朝っぱらから何でそんなにご機嫌なのか… それよりも初めての電話に眠気の吹き飛んだ私はガバッと勢い良く身体を起こした。 寝起きで回転の悪い脳を何とか動かし、頭の中の疑問の答えを導き出す。 Q、何故、碓氷さんが私の番号を知ってるのか? A、………蒸し豚だ。 そういや話が盛り上がった流れで、私の情報を教えてと言った彼に送った気がする… でも向こうの番号とかこっちに送って来なかったし、今まで電話もメールもした事無かったから知らなかった。
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