透明人間

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さりげなくこういう気遣いをしてくれるのが有り難かったし、素直に嬉しかったんだ。 あんまり食欲がないと残した物を 「じゃあ俺が貰っていい!?」 なんて目を輝かせるからうっかりその優しさを見落としそうになったけど。 多分それも私に気を使わせない為なんだと思う。 「いやぁ食った食った!まぢで腹一杯っ!これからどうしようか?」 お腹を摩る彼の仕種にふと目がいったけど、全然出てないお腹に腹筋割れてたりして、なんて想像して少し赤くなっちゃう私はやっぱりおかしい。 「何処でも。でも室内がいいかな?」 俯いたまま言う私に一瞬不思議そうな視線を送り、すぐ笑顔に変えた。 「そうだよね。じゃあ映画でも見ようか?まだあんまり動き回らない方がいいかもだし」 「そうですね」 やっと顔を上げた私に彼の笑顔は眩しくて、キラキラして見えた。 今度はどちらともなく自然に手を繋ぎながら歩く。 周りから見れば私達は恋人同士に見えるんだろう。 でも実際は何の関係でもない。 ただの会社の先輩と後輩。 ―貴方は私の事どう思ってるの? 私は、貴方が好きです。
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