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でも世間的にはまだ認識度が低い為、大抵の人には
「変わったストラップだね~」
と言葉は柔らかいものの、変な目で見られる事が多かった。
そんな中、皆で羨ましがられても
「なら代わってやるよ」
と毒づく事しか出来なかった、目の前のデスクの持ち主って言う至近距離に仲間がいたなんて。
とうだいデ゙モク…じゃない、灯台下暗しってやつ。
私達は思わぬ共通点である『蒸し豚クン』について誰も居ないオフィスで熱く語り合い、気付いた時には夜もすっかり更けていた。
「もうこんな時間…」
ふと備え付けた時計を見上げ、口から零れた言葉に彼も時計を見上げる。
「本当だ。いくら何でも語り過ぎだよね」
苦笑いする彼と同じ様に苦笑いした私の中にあった苦手意識はすっかり消えていた。
やっぱり他人に対して入り込めない私は、同僚の女の子達の様に碓氷さんに対して特別な感情を抱く事は無かったけど。
それは、きっとこれからもない。
―この時まではそう思ってた。
帰り支度を済ませ、ロビーまで降りて来ると玄関の硝子の向こうでチラチラと白い妖精が舞い始める。
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