愛しい君の名を

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ベットに横たわる君の手を 強く握る。 「……く」 愛しい君の名前を呼ぶ。 「…きく…」 すべてが、夢だったらいいのに。 「…菊…、菊…っ」 ねぇ、お願い。 目を覚ましてよ。 そしてまた、 あの花のような笑顔を 俺に見せて。 「きく…っ、菊、菊…!」 何度呼んでも、 応えてくれなくて。 虚しく病室に響くだけだった。 『なぁ、菊。 俺、菊の花って好きだな。 すごく気品がある感じで…菊にピッタリだ』 『ふふ…ありがとうございます』 ─でも、知っていますか? 昔から、日本では 菊は死んだ人に贈る花とされているんです。 だから 私はあんまり好きじゃないんです。 菊の花を見てると 悲しくなってくるんです。 あぁ、 永遠なんてないんだなって─… end   →あとがき
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