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「ん?」
カップ麺がそこにはあった。いや、もちろん自分で置いた訳であるから、驚く事は何にもない。むしろあって当然だろう。なかったら逆にホラーだ。
なら、何故馬鹿みたいなマヌケな声が少年の口から漏れたのか。それはカップ麺の奥にある、テレビの報道を見たからだった。
「…またこれか………………」
一週間前から報道されている、もはや聞き飽きたニュースだった。
内容は電磁獣の事。
電磁獣。
それは次世代魔術の普及とともに、世界中に広がった新たな生命体だ。人の能力や、電磁波を媒介にし、毎日誕生している。毎日がハッピーバースデーというわけだ。
テレビを切り替えカップ麺をすする。
次世代魔術。
インターネットと共に普及し、プログラムでだれでも魔術が使える。必要なのは知識と法則。
この地域には特に魔術者がいる。学園だってあるくらいだ。
魔術専用のね。
そんなこんなで十津学園に通う男子生徒、秋月春一(あきつき・はるいち)は数分間熱いカップ麺との格闘を終えた。
春一の名前はいたってシンプルだ。こんな文字は誰でもかける。
時間を見ると何時もより五分遅い。
カップ麺がなかなか取り出しにくいところにあったのも一つの要因だろう。
いるものを適当につめて学園に向かう。学園までは健康的に徒歩と電車。
…………はい。嘘です。自転車が買えないだけです。
家計は何時も残念だ。一人暮らしだししょうがないだろ?
などど春一は言い訳をしながら立ち上がる。
「よっと…………………」
実は金はたっぷりあるのだが、とある事情により使わない事にしていた。
いつも通りのボサボサ頭をかく。
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