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「えっと…それで名前を教えてくれるか?」
「ん?ああ。俺は秋月春一」
「秋に春か、なかなか風情のある名前だ。私は高美伽楓。一年二組」
少女は高美伽楓(たかみかかえで)と言うらしい。
腰まである長いくすんだオレンジ色の髪が太陽に反射して美しい芸術品になっている。
しかし、高美伽?なんか聞いた事が…
「高美伽…高美伽」
「…」
そんな俺に気づいたのか、高美伽は恥ずかしそうに目を細めると
「…さ、さて、私はもう行くぞ」
「ん、ああ」
なんか聞いたことあるんだよな、と思いつつ、高美伽を見る。
「忘れ物か?」
逆方向に行こうとしてるしな。
「あ、ああ。それじゃあ秋月」
と高美伽はいうと素早くまるで逃げるように走っていった。
「…なんだったんだ一体」
暑さはどっと来たけどさ。
高美伽が行ってしまった方を見ているとビルの広告にでかでかと『高美伽グループ』と書いてあった。
(……高美伽なんて珍しい名字ないよな…無いよね、って事は…)
「…お嬢様ってやつかい」
などとツッコミをいれる。お嬢様なら、何故帝東帝理学園やら東雲台学園に通わないんだろう?
「ま、…いっか」
と考え直して再び歩き始める。
春一は再三太陽を睨む。
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