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『元レイヴン』という言い回しが若干気に掛かったが、それよりも、リンクスになれない俺に自分がリンクスになった時の心情など話して何になるのか?という疑念の方が大きかった。全く、人間は年をとるとこうまで耄碌するものなのかしらん?
「それはそうと……手続きの書類とかは無いでしょうか?あるなら早いところ済ませたいんですが……」
と俺は、ややぶっきらぼうに言う。これ以上耄碌に付き合うつもりは無い。
「おお、そうだったな。この書類に直筆でサインを」
そう言って男は、俺に三枚の書類を手渡した。
「今は略式で済ませるが……そうだな、まぁ詳細は追って知らせよう。だが、これで一応は君もリンクスだ。頑張ってくれたまえよ」
「……は?」
俺の手は三枚目の書類にサインをしている途中でぴたりと止まった。
「何、ですって……?今日から……?誰が?……俺が?」
あまりに唐突だったので、俺は驚きを隠せなかった。ぶざまにも、口を開けたまま突っ立っている。
「……何をそんなに驚いている?知らなかったわけではあるまい?」
「そんな……俺、いや……私はてっきり不採用の告知だと……」
そう言いながら俺は、今サインした書類の内用に素早く目を走らせた。
確かに……カラードとの契約やら、ACネクストの保有について等、リンクスとしての契約で間違いは無いようだった。しかし何故だ?
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