Welcker tells nothing

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「有り得ない……ヴェルカ隊長が負けるなんて……ネクスト四機相手でも生還した隊長が負けるなんて……嘘だ」  やっと絞り出した言葉だった。ただ、信じられなかった……いや、信じたくなかった。 「君がレイヴン……いや、エヴァンジェリスタ・ヴァン=ヴェルカーナの傭兵部隊に所属しているのは知っている。彼は……無敗だよ。今回は事故だ……いや、事故だったと報告を受けた」 「事故……事故だって?ネクストに乗った人間が事故死?有り得ない。一体どんな事故がネクストに乗った人間を殺せるって言うんですか!」  目の前の男に当たっても意味が無い事は解っていた。しかし誰かに当たらずにはいられなかった。男もこちら気持ちを察してか、何も咎めなかった。 「GAグループが建造中の軌道エレベータがあるだろう?」 「……?ええ、赤道上の西経九○度に建造中の。確か既に一部稼動していると聞いてますが……何か関係が?」 「現在軌道エレベータは最終調整に達している。実際、稼動可能な状況だ。そして今回、最終稼動テストがあって、彼はその護衛任務に就いていた」 「そこで事故が……起こった?」 「報告によればな。事故の直前、軌道エレベータのアンカー部が、GAグループと対立しているインテリオル・ユニオン社とオーメル・サイエンス・テクノロジー社からなる宇宙用ノーマル部隊に急襲されてな。まぁ、それらはレイヴンが難無く排除したらしいんだが。問題はその後起こった……」
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