Prologue

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 少年は見上げていた。地上から夜空に輝く流星を。いや、あれはただの流星ではない。辺りが明るくなる程光り輝いていた。その流星はまるで閃光のような速度で夜空を駆けていった。  流星が通った軌跡はすぐに解る。辺りに輝きの種を蒔いていったから。  その輝きの種は次第に激しさをまし、今では満月が霞む程の輝きを放っている。  やがてその光りは無数の小さな流星に変わり、幾つもの光の筋が夜空を埋め尽くしていった。  なんだろう?少年は思った。でも、きれいだなぁ……手をのばせばとどきそうだ。  少年は左手を夜空に掲げた。瞬く流星が少年の手の中に吸い込まれていく。  とても神秘的な夜空を少年は目に焼き付けていた。  それは少年にとって忘れられない夜になった。  それは世界にとって忘れられない夜になった。  少年は知らなかった。その輝きがどれ程の犠牲の上に成り立っているのかを。そして、その輝きがどれ程の可能性を齎すのかを。  今宵、アサルト・セルは衛星軌跡掃射砲『エーレンベルク』によって取り払われた。世界は新たな時代への一歩を踏み出したのだ。  
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