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だが今は出撃するわけでは無かったし、そもそも調整の為の搭乗だった。だから今回は対G機構は構成する必要は無かった。
俺は首の横にAMS接続用のジャックと機体を繋ぎ、ネクストと『リンク』した。この機体との接続(リンク)が、搭乗者である『リンクス』の語源なのは言うまでもない。
<どうだ、何か違和感は?>
頭の中に整備士の声が響く。機体との同調は上手くいったようだ。
俺は感覚を四肢に向ける。リンクスはAMSを介して、己の思考をネクストに反映する事が出来る。この思考反映をストレス無くスムーズに出来る者程、AMS適性が高いと言われている。
まぁ、生憎俺の適性は圧倒的、とまではいかないが、かなり低く、それなりに苦労しながらネクストを動かさなければならなかったのだが。
「そうですね、左腕と左足……特に関節部が重く感じます。それから右肩にも少し違和感が……」
<違和感か……どんな感じだ?重い感じか?>
「いえ、少し浮いたような感覚です」
<解った。一度接続を切ってくれ。調整し直す>
俺は整備士に従い、一度接続を切った。
それから二度三度同じ事を繰り返しながら、だんだん俺と機体の感覚を合わせていく。こういった機体の微調整でAMS適性の低さはある程度補う事が出来るのだ。だが、それの調整には一流以上の整備の腕が必要で、腕の悪い……いや、並の整備士が同じ事をやっても、機体のバランスを崩すだけだろう。
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