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俺は、リンクスとして始めて望む任務に、少しばかり緊張していた。しかし、それと同時に淡い高揚感もあった。いや、それは優越感と言えるかもしれない。迷いは無い。失敗してもいい。生きて帰ってくる。それだけだ。
その日の明け方、俺は眠い目を擦りながらもいつもの日課でガレージへ赴いていた。つい昨日まで賑やかだったそこは、今は誰もおらず、ただ重たい空気と静寂だけが流れていた。
俺はそれを吸い込むように深く息を吸って、そして吐き出す。二、三度繰り返すうちに段々と目が醒めてくる。
目が醒めてくると頭の回転が速くなり、周りの状況が見えてくる。今気付いたが、ガレージ中がゴミの山だった。昨日、塗装に使ったペンキ缶やスプレー缶は兎も角、宴会の時の食い散らかした後が片付けられずにそのまま放置されていたのだ。他にも明らかに私物だったようなものまで捨てられていた。
俺は、そうそう片付ける気にはなれなかったが、しかし放っておいても誰かが片付けてくれるわけでも無いし、それに今日はカラードから新しい“仲間”がやってくるのだ。彼等にこんな汚らしいガレージを見せるわけには、流石にいかなかった。
仕方なく俺は、ガレージ中の自動掃除機を駆り出し、大掃除に取り掛かる事にした。どうせオペレータが来るまでやる事も無かったので、良い暇潰しにはなるだろう。
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