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俺は、自動掃除機では吸い取る事の出来ない大きなゴミを手で拾い集めてはゴミ袋へと詰めていった。
あれからどれ程の時間が経ったのだろうか。ゴミは一行に減る気配は無く、俺は自動掃除機に溜まったゴミの収拾やフィルター詰まりの掃除等、やる事が多すぎて暇を潰すどころか、その前に自分が潰れてしまいそうだった。それにしても、何故これ程ゴミがあるのか?どう考えてもこの二日で出せる量では無い。
そうして考えているうちに、俺は一つの結論に達した。このガレージ、実は誰も掃除等していなかったのだ、と。
よくよく考えればその通りで、実際誰かが掃除している姿等見た事が無い。つまりこのゴミは、このガレージの“歴史”でもあるわけだ。人がいなくなって初めて気付く事もあるものなのだ。
俺は腕時計に目をやった。もうすぐ昼になる。こうなったら、ACハンガーだけでも綺麗にしてやろう、と俺は躍起になった。
先ずは昨日使ったペンキ缶を一箇所に纏め、そして次に手で拾えるゴミをゴミ袋へ次々と放り込む。さらに自動掃除機で埃や細かなゴミを吸って、最後にモップ掛けをする。
しかし、個人用ガレージとはいえ、ACを六機格納できるハンガーの広さは、一人で掃除するには些か大き過ぎる。半分程の広さのモップ掛けで、俺はくたくたになってその場に大の字になって寝転がった。
みんながいた時は狭く感じたのに……こんなに広いハンガーだったんだな。俺は深く息を吐き出しながらしみじみと思った。
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