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「いえいえ、此処だけの話、女性の方が質が悪いんですよね、実際。顔が良くても腕が……ってオペレータ、意外に多いんですよ? その点私は男ですから、オペレーティング能力だけで勝負です」
とパラベラムは胸を張る。
「ふうん……そんなもんかな?」
俺は立ち上がって右手を差し出した。笑顔で。しかし歯は見せない。
「そんなものです」
そう言ってパラベラムも右手を差し出し、握手を交わす。笑顔で。純白の歯を見せながら。
「まぁ宜しくついでに、その喋り方どうにかならないか?慣れないからやり辛い」
部隊にいた頃は一番若いという事もあって、基本的にみんなは俺にため口で接していた。それに慣れた俺からしてみれば、敬語は異質な言葉に聞こえた。
「……そうか?」
パラベラムは先程の整った笑顔とはまるで違う崩した笑顔を見せた。ニヤリと笑う、と言ったところだ。
「いやぁ、俺も敬語なんて堅ッ苦しいもんは使いたく無かったんだ。相方があんたみたいな人で助かったぜ」
パラベラムの変貌振りに些か面を喰らいながらも、しかし俺は彼の今の雰囲気に何処か親しみを覚えた。何と無くだが、彼、パラベラムとなら上手くやっていける、そんな気がした。
「で、早速なんだが仕事の話で悪いな。いきなりだが今日の夕時に一件入ってる」
「今日だ?えらい急だな……」
「いや、大体こんなもんだ。今回のミッションは企業連から、つまり君に対する実戦試験ってところだからな。他のリンクス達も大体辞令を受けてから二、三日の間に行われる」
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