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「旧タルトゥシティか……微妙に遠いな。時間は大丈夫なのか?」
俺は時計を見ながら言った。今昼の二時を過ぎた辺りだ。夕刻の期限に間に合うギリギリの時間だ。
「心配無い。外に高速輸送機を待たせてあるんだ。ネクストの整備もそこで出来る」
「そうか。だが、整備は不要だ。既に完璧に整備してあるからな」
「そうか……だがまぁ、これから一緒にやっていく仲間だから挨拶はしとけよ?」
俺は解ったと頷いて見せた。言われなくても挨拶くらいはやるつもりだった。それくらいの礼儀作法は常識だ。
「ふむ……最後になったが成功報酬は二○万コームだ」
「二○万?破格だな……」
『コーム』というのは通貨の単位だ。ただし、一般的な通貨ではない。極一部の限られた場合にのみ、使用される特殊な通貨だ。例えば企業間の取引や賠償、そしてレイヴンやリンクスに対する報酬等の超高額の資金が動く場合だ。たったの一コームで、一週間は遊んで暮らせる程の価値がある。
「いや、そうでもないさ。一般的なネクストの雇用相場が大体三○万以上だ。特別報酬がある場合もある。とはいえ、報酬が高額の依頼程、その内容は過酷なものとなるだろう。つまり、弾薬費や機体修理費が馬鹿にならん額になる。そして、弾薬費や修理費が嵩めばそれだけ取り分も減る。そういったものを考慮した場合、一概には言えんが、確かにこの依頼内容に対する二○万という報酬は破格かもしれないな」
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