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「そんなものかな?」
俺にとって今回の仕事がリンクスとしての初仕事だから、そういった事はよく解らなかった。
「そんなものさ。ようは腕次第だ」
そう言ってパラベラムは自分の腕時計に目をやった。
「さて、そろそろ良い時間だ。出撃準備に取り掛かろう。サシャはネクストを輸送機に載せてくれ」
「ハティ・スコルだ。ハティでもスコルでも、好きに呼んで構わないからこの名で呼んでくれ。それと、俺のACはフェンリルという名だ」
俺はもう、サシャ・サンドリオンではない。『ハティ・スコル』の名に俺の心構えを託しているのだ。
「ふむ……そうだったな。了解した。では改めて、出撃準備だハティ。フェンリルを輸送機に載せてくれ」
「了解だ、パラベラム」
俺は軽い敬礼をし、耐Gスーツに着替える為ブリーフィングルームを後にした。
俺は更衣室で自分の耐Gスーツに着替えた。この対Gスーツは、レイヴン時代に自分が使っていたものをベースに少し手を加えただけのものだ。リンクスとレイヴンの耐Gスーツの基本構造は変わらない。ただ、頚の横にあるAMS接続用ジャックに接続端子を通す為の『穴』を開けなければならない。とはいえ、ただ切り抜いて穴を開けるだけでは耐Gスーツの性能を損ねてしまうし、コックピットに充満させるGジェルがその隙間から入り込んでしまう。だから専用の接続部品を使う必要があり、だから普通の耐Gスーツをネクスト用に改良するのはそれなりの手間がかかる。このスーツはリンクスになった祝いの日にヨナがくれた物だった。彼の手作りだ。
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