1st mission ~Sortie~

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 輸送機のハッチが閉じられ、六機のジェットエンジンがアイドリングから一気にフル回転する。外は轟音だろうが中は意外に静かだった。一瞬の浮遊感。輸送機が飛び立ったのだ。  すると十人の整備士達は、それを見計らったかのようにフェンリルの前に一列に並び始める。 「敬礼!」  列の先頭に立った男が叫び敬礼した。それに習い整備士全員が敬礼する。 「この度はッ!リンクス、ハティ・スコル氏の専属整備士に任命されッ!我々一同感無量の様でありますッ!これから宜しくお願い致しますッ!」  全員緊張した面持ちでこちら(フェンリル)を直視している。 「……なんすか?これ」  俺は先程パラベラムの使った回線に通信を入れた。すると、案の定彼から返答があった。 <まぁ、気にするなよ。彼等も今回が初陣なだけだ。取り敢えず返事くらいしてやったらどうだ?フェンリルにも拡声器は付いているだろ。あ、それからこの回線、輸送機のコックピット直通だから次からは俺専用の回線を使ってくれ。今から送る。悪いな、手際悪くて。じゃ、上手くやれよ>  パラベラムが回線を切った後、それは直ぐに送られて来た。俺はそれを保存すると、外部拡声器を起動させる。整備士達に俺流を教えてやるのだ。ヴェルカ小隊流を。 「はい、宜しく。ただ、その他人行儀な軍隊流の礼儀作法は止めてくんない?堅っ苦しいったらありゃしない。それと、挨拶がすんだら直ぐに作業に取り掛かって!時間は限られてるんだ」
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