1st mission ~Sortie~

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「了解しましたッ!」  あまり了解出来ていなさそうな返事に俺はうんざりしたが、まぁ怠けるよりはよっぽどマシだなと思い直す事にした。  とは言え、今回が初陣というだけあって、動きは固く、あまり手際が良いとは言えなかったが。  まぁ、これから上手くなっていけば良いさ。俺は思った。ガレージに帰ったら、彼等にもう一度挨拶して、一郎の作った“カルテ”を見せてやろう。きっと驚くはずだ。  それから俺は、集中力を高める為に心を無にした。これは昔からやっている、ある意味出撃前の儀式のようなものだった。  思考を止め、時間を忘れ、ただひたすら心を空にする。淀んだ感覚が次第に一点に纏まっていく。そして、その一点が深い闇に落ちる感覚の後、俺の心は無になる。 <ハティ、後五分程度で戦闘領域に入る。出撃準備にかかってくれ>  俺の心は、パラベラムの呼び掛けで一気に現実へ引き戻された。かなりの時間が経過していた。俺は咄嗟に「了解」と返事を返している。 「整備班、武装の最終調整は完了しているな?」  拡声器を使い俺は尋ねた。 「はッ!現状で出来得る最善を尽くしたと自負しておりますッ!」  班長と思われる整備士が、敬礼しながら答えた。堅い表情だ。 「そうか。ありがとう」  俺はもう彼等の言葉遣いを気に掛けなかった。正直な話、自分に余裕がなかったのだ。
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