1st mission ~Sortie~

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 これが俺の最初の任務……ふと俺は、自身の手の震えに気付いた。恐怖から来るそれではない。所謂武者震いというやつだ。俺は武器を手にした。正確には手にしたのはフェンリルだったが。  出撃まで残り数分。俺はフェンリルを射出用油圧式カタパルトに接続する為、移動した。輸送機は空を飛んでいる事を忘れさせる程、静かに、水平に飛行している。  フェンリルの両脚が油圧式カタパルトに固定される。このカタパルトはノーマルにも運用され、俺もレイヴン時代に数回の経験があった。  残り数秒。俺は軽い向陽感の中その時を待った。 <旧タルトゥシティ上空に到達。戦闘領域突入。ハティ、出撃だ>  パラベラムは落ち着いて出撃命令を下した。流石は場数を踏んだオペレータだ。 「了解」 <グッドラック、ハティ>  パラベラムの声とともにカタパルトが作動する。フェンリルは一瞬で輸送機の外に飛び出し、すかさずPA(プライマルアーマー)を展開する。PAが空気抵抗を緩和する為、上昇気流に煽られながらも機体は安定性を損なわない。  フェンリルはそのまま自由落下で降下していく。敵の警戒に掛からないよう、雲よりも高い高高度から。  雲海に突入する前のほんの一瞬、夕日が赤々と燃えているのが目に入った。夜はもうそこまで迫っている。    →To be continued→
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