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「はぁ?一二機だって?こりゃまたえらく多いな……ますますただのテロリストじゃなさそうだ」
俺は愚痴りながらもフェンリルのスナイパーライフルを構え、右背部のレールキャノンを展開させる。俺はフェンリルの周囲に意識を広げた。頭の中にレーダーのエコーが反映される。だが、フェンリルのレーダーに未だ敵影は見えない。
だが、フェンリルの眼にはしっかりと見えていた。廃墟を遮蔽物にしながら接近するノーマル部隊の上げる僅かな土煙が。
恐ろしく統率の取れた部隊だ。俺は思った。その動きからして、そこいらの破落戸(ごろつき)とは違うと解る。
俺はフェンリルの通信回線を全て開いた。電子戦闘。敵部隊の通信を傍受する為の手段だ。しかし、うんともすんとも言わない。敵はこちらの急襲にも関わらず、慌てる様子も無く落ち着き払って行動している。予めこちらの襲撃が解っていなければこうは行かないはずだ。
「パラベラム、悪い知らせだ」
俺は少し低めの声で唸るように言った。
<どうした?何かあったのか>
パラベラムは即答する。流石に腕は確かと自称するだけの事はある。
「奴さん、どうやら俺が此処に来る事を事前に知ってたみたいだ。情報が漏れてる」
<チッ……面倒な。最悪の初陣だなハティ。これだから企業は信用ならん。だが、やる事は変わらん。敵は殲め……>
「いや、こちらからどうにか接触を試みる。彼等がまともなら、何か解るかもしれない」
俺はパラベラムの言葉を遮りながら言った。正体までは解らずとも何かしらの手掛かりはあるはずだ。
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