1st mission ~Walpurgis Night~

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<なッ、馬鹿な事を言うなッ!?下手な詮索は無しだと、さっき言ったばかりだろうッ!>  パラベラムは怒鳴るように言った。彼が俺の為を思って言っているのはよく解った。それに彼の言葉の意味もよく理解している。だが…… 「悪いな。俺は飼い猫でも無ければ山猫でも無い。今でも自由気ままな烏なんでね。お上に、いや企業に顎で使われるつもりなんざ……毛頭無い。あくまで対等だ」  つまり、俺は無知を恐れていたのだ。知らぬが故に良いように顎で使われ、そして不要になれば捨てられる。そんな人生は御免だ。それに、この任務はきな臭いだけなら未だしも、こちらの情報まで筒抜けだった。『ヴァルプルギスの夜』には裏がある。確実に、だ。俺の直感がそう告げている。 <チッ……俺は一介の派遣オペレータだ。お前のやる事に口を挟む権限は無い。だがこれだけは約束しろ。この先、何を知ったとしても口外せん事だ。解ったな>  パラベラムは、何を言っても無駄だと理解したのか、諦めたように言った。 「了解した。すまんな、こういう質なんだ」  俺の返答にパラベラムは溜息だけ返して、後は何も言わなかった。  俺はフェンリルの高度をさらに上げた。空中での高機動戦闘。これもある意味、ノーマルACとACネクストとの性能を大きく開く要因なのかもしれない。  ノーマルは積載量(ペイロード)の関係上、高性能のジェネレータを搭載する事が出来ない。だから、空戦特化機でも無い限り、空中で機動力を確保する事は不可能だった。
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