1st mission ~Walpurgis Night~

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「レイヴンとしての誇り……俺にも解るさ。俺もつい最近までレイヴンだったから。だが何故、それ程に誇り高きレイヴンが、こんなテロリストに成り下がっているんだッ!?貴殿等程の腕なら、企業の正規部隊としてでもやっていけだだろうッ!?本当に誇りを持っているのだと言うのなら、しかるべき処罰は受けるべきだ。そして罪を償った後、新たな未来を切り開けば良いじゃないか!」  俺はもう、情報を引き出す事等頭になかった。ただ、彼等の、レイヴンとしての腕が失われる事を惜しんだ。彼等はこんなところで死ぬべきでは無い。何故だかそう思えて仕方なかった。 「無駄だよ……もう手遅れだ。我等は戦場(いくさば)で出会ってしまった。もう……誰にも止められやしない」  ノーマル部隊の隊長は押し殺したように言った。 「何故だッ!一体何にこだわっているんだ。死んでしまっては何も残らないじゃないかッ!」  この問いにノーマル部隊の隊長は何も答えなかった。そして自機の左腕をゆっくりと上げる。  駄目か……俺は覚悟を決めた。彼等は本気だ。もう止められない。  だがその時だった。その部隊の隊員の一人が、隊長を制しこちらに通信を入れて来たのだ。 「待ってくれ隊長。俺は……彼なら信じていい気がするんだ。おいあんた、今から俺のいう事をよく聞いてくれ!」  俺は解った、と言った。しかし、彼の話を阻んだのは彼の隊長だった。
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