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「スティーク!馬鹿な真似はよせッ!死にたいのかッ!」
先程までの冷静な口調とは打って変わって、焦ったようにノーマル部隊の隊長が叫んだ。
「どっちにしろ死ぬんだ。なら俺は……彼に全てを託すよ。聞いてるかあんた。名前は何てんだ?リンクス名じゃない、あんたの本当の名前だ」
スティークと呼ばれた男は、とても落ち着いた口調で言った。
「俺は……サシャ、サシャ・サンドリオンだ」
「サシャか……俺はスティーク・ラベルタ。いいか、サシャ。率直に言う……」
「止すんだスティーク」と隊長。
「隊長、悪いが俺はもう決めたんだ」
「スティークッ!」
「時間が無い。良いか、サシャ。ヴァルプルギスの夜は俺達だけではない。とてつもなくでかい組織だ。俺達なんざ末端の末端に過ぎない」
「いい加減にしろ、スティーク……」
「隊長、貴方は黙っててくれッ!」
スティークは怒鳴った。しかし、その口調はすぐに戻った。
「隊長……貴方には感謝している。だからこそ、黙って見届けてくれ」
「スティーク……」
もう隊長は何も言わなかった。
「有り難うございます。それでだ、サシャ。俺達以外にも似たような部隊が複数送り込まれている。そして俺達の目的はただのテロではない。地上を混乱させる事にある。いいか、ヴァルプルギスの夜を支配しているのは企業では無い!ヴァルプルギスの夜は企業すら利用する。何故ならその支配者はつ……」
スティークとの交信が途絶えたと同時に、一機のノーマルACが爆発した。
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