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「スティーク?おい、どうしたッ!?」
俺は炎上するノーマルを凝視した。爆発は内部から起こっている。外部からの攻撃では無い。
「これが……裏切り者の末路だ……」
ノーマル部隊の隊長は淡々と言った。
「ヴァルプルギスの夜は常に我等を監視している……裏切り、敵前逃亡、投降……それらは死をもって粛清される。このACに乗った時点で、勝利以外の生きる術は絶たれたのだ……だが、スティークの取った行動が正しいのかもしれん。俺は、死を恐れていた……ふふふッ何と不様な事だ。サシャと言ったな、お前に覚悟はあるか?」
その声と共に、ノーマル部隊は全機、臨戦態勢に入った。
「俺は……貴方達を忘れない」
俺もフェンリルのスナイパーライフルとレールキャノンを構え応戦する。お互い理解し合う事が出来たが、運命には抗えない。彼等は戦いの中で死ぬ事を望んだのだ。俺にはそれが解った。だから俺も、それに答えた。彼等は最後まで気高き烏だった。
「良い覚悟だ。我が名はアネル・ベック。我等の屍を超え、お前は生きよッ!」
そう言ってアネルは、俺に一通のメールとありったけの弾丸を見舞った。
俺はQB(クイックブースト)により弾丸を回避する。それはAMSに制御された爆発的な推力を一瞬のうちに吐き出す事で、従来のACでは有り得なかった瞬発的な回避を可能にした、ネクストならではの機能だ。これもACネクストが絶対優位に立てる要因の一つだった。
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