1st mission ~Walpurgis Night~

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 そして俺は回避の刹那、アネル機に対してスナイパーライフルの弾丸を放っている。狙いは精確だった。高速で飛翔した徹甲弾が一瞬にして動力部を貫く。  だが俺には、彼の最後を見届けている暇等無かった。後り一○機ものノーマルがフェンリルを狙っていたから。  俺の頭の中にパラベラムからの戦闘情報が刻々と送られてくる。彼は今までサボっていたわけでは無かった。  通常型が五機、内二機は沈黙。ミサイラーが三機。スナイパーが三機。そして電子戦型が一機。通常型が前衛、スナイパーが後衛、ミサイラーが中間に位置し、部隊の最後尾に電子戦型が配置されている。見事なまでの布陣。ここまで統率が取れていると、並のネクストでも苦戦を強いられるだろう。  だがしかし、俺は並以下だ。下手をすれば負ける可能性も……無きにしもあらずだった。  弾丸の雨とミサイルの嵐がフェンリルを襲う。だが大半はQB(クイックブースト)で回避し、僅かに被弾した攻撃もPA(プライマルアーマー)によって阻まれ、たいした損害にはならない。だがそれは、こちらの脚を止める為の手段であり、決して本命では無かった。彼等の本命はスナイパー型ノーマルの大口径スナイパーキャノンだ。その一撃はPA(プライマルアーマー)すら易々と貫き、ネクストにさえ甚大な被害を齎す。それはノーマルがネクストに対抗できる数少ない兵器の一つだった。  俺はフェンリルを左方向に高速で回避させ続けた。決して右には避けない。俺は彼等が、こちらの速度が一瞬だけ零になる“切り返しの瞬間”を狙っているのが解ったからだ。
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