1st mission ~Walpurgis Night~

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 しかし俺も、ただ黙ってやられているわけでは無かった。  背部に展開したレールキャノンをミサイラーに撃ち込む。何の躊躇いも無く。電磁的に加速された弾丸は秒速一○キロメートルにも及ぶ。その弾丸を回避するのはネクストでさえ困難を極めた。ノーマルが避けられる代物では無い。弾丸はそのミサイラーのコックピット下部、則ち動力部を貫いていた。一瞬後に爆発。ミサイラーは沈黙した。  しかし、レールキャノンの電磁加速には膨大な電力(EN)を必要とした。電力(EN)は常にジェネレータから供給されているが、その大半は推力に回されている。ジェネレータのコンデンサ容量が尽きれば、それは則ち機動力にも影響を及ぼし兼ねなかった。  さらにQB(クイックブースト)に使用する推力を瞬間的に絞り出す為に、更なる電力(EN)を消費しなければならない。つまりフェンリルは今、慢性的な電力(EN)枯渇状態にあった。  それを知ってか知らずか、彼等の攻撃はさらに激しさを増していった。ただ、機動力が低下したとしても、PA(プライマルアーマー)を展開しているフェンリルにとって、ノーマルの攻撃はスナイパーキャノン以外脅威では無い。  だが、PA(プライマルアーマー)とて万能では無い。物理的な干渉があれば電磁的に固定しているコジマ粒子が拡散し、次第に減衰していってしまうのだ。ジェネレータからコジマ粒子が常時供給されているとはいえ、供給量以上に粒子の拡散が進めば何れそれは破られてしまう。そうなれば、いくらネクストとはいえ致命的な被害は免れないだろう。
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